中国とベトナム、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ブルネイ、フィリピンなどのASEAN諸国が共同で汎北部湾経済協力区を構築する目的は、中国-ASEANの戦略的パートナー関係および自由貿易区という枠組みのもとで、汎北部湾の地縁上の優位性、沿岸部港湾の優位性およびその海運における優位性、海洋資源の面における優位性を活かし、中国-ASEAN間の海上地域協力を推し進め、汎北部湾地域の経済発展を加速させ、共同で太平洋西岸の経済発展の新たな成長ゾーンを育成し、汎北部湾諸国および地域経済の共同の繁栄と進歩を促すことにある。
汎北部湾地域経済協力の戦略目標
今後の一時期において、汎北部湾地域の経済協力の全体的な目標は、地域協力を通じて、地域内の様々な経済関係を正常化させ、地域協力メカニズムを構築して完璧なものにし、各国間及び地域交流を増進し、相互投資と貿易を促進し、商品、サービス、資本、人的資源の流動化を実現し、協和の取れた、共同発展が実現し経済一体化レベルの高い経済共同体を形成させ、そして最終的には、太平洋西岸における経済発展が活力に満ち、世界の中で重要な位置を占める新たな経済成長ゾーンになることを目指す。これにより汎北部湾地域の国際経済の舞台における地位を大いに向上させる。
▽今後約五年間の短期目標
——効率的に運営され、影響力があり、重要な役割が発揮できる地域協力メカニズムとプラットフォームを形成させる。
——交通インフラを整え、中国-ASEAN間の陸、海、空交通網の初歩的な完成を目指す。
——中国-ASEAN間の人的往来、モノの貿易の利便化をはかる。
——中国―ベトナム間で、北部湾経済圏構築においてメカニズムおよび具体的な協力プロジェクトの面で著しい進展および顕著な成果が得られるよう努める。
——汎北部湾観光圏の初歩的な完成を目指す。
——広西・北部湾経済区の先行発展をはかる。
▽今後10~20年間の長期目標
——基盤施設が整い、海・陸・空交通が発達した地域立体交通ネットワークの形成を目指す。
——海運が発達し、分業・協力関係のよい汎北部湾港湾連盟の形成を目指す。
——比較的に発達した汎北部湾観光圏の形成を目指す。
——海洋資源や海洋生態環境が効果的に保護され、経済・社会と自然環境との調和が取られ、持続的発展が可能な生態重視型地域の形成を目指す。
——広西・北部湾経済区の汎北部湾地域協力における物流基地、商業貿易基地、加工製造基地および情報センターの形成を目指す。
——汎北部湾地域が協和の取れた、共同発展が実現し経済一体化レベルの高い汎北部湾地域経済共同体、そして太平洋西岸の新たな経済成長ゾーンとなることを目指す。汎北部湾地域経済協力の位置づけ
汎北部湾の経済協力は異なる主権国家間という条件のもとでの地域経済協力であると同時に、異なる関税地域の間――自由貿易区や均一関税/経済連盟にまたがる地域協力であり、経済体の一部の領域に関わる弾力性のある地域協力メカニズムでもある。その協力の方向および基本的な位置づけは、中国―ASEAN戦略的パートナー関係および中国―ASEAN自由貿易区枠組みの下で、中国―ASEAN海上地域協力を重点的に推進することである。
まず、主権の異なる国家間において、制度の整備を通じて地域経済の一体化を促す。
汎北部湾協力は、中国、ベトナム、マレーシア、シンガポール、フィリピンなど主権の異なる国家間で展開されている経済協力である。市場経済のルールや市場メカニズムに従うとともに、異なる経済体間の協定や組織形態を通じて地域協力を推し進めるものである。このプロセスにおいて、制度整備は単純なものから複雑なものまで、低いレベルのものからハイレベルのものまで、漸進的に行われ、地域経済の一体化は徐々に深まることになる。
次に、中国-ASEAN自由貿易区の枠組みのもとで、生産要素、モノの貿易、サービス貿易における協力関係を深める。
汎北部湾経済協力区は、中国-ASEAN自由貿易区における重要な地域協力であり、中国-ASEAN自由貿易区の基礎の上で、地域協力の内容と形式をいっそう発展させることが出来る。
最後に、汎北部湾協力は、中国-ASEAN間の重要な海上地域協力である。
汎北部湾地域協力体制に参加しているのはいずれも海洋国家及び地域であり、海洋の優位性がある。温家宝総理は、2003年10月インドネシアのバリ島で行われた「10+3」「10+1」サミットに参加した時、中国政府は「海上ASEANの構築に積極的に参加する」と宣言した。汎北部湾経済協力区の構築は、中国が「海上ASEAN」に参与するために、新たなルートを切り開いている。
汎北部湾協力は中国-ASEAN海上地域協力として、陸上のメコン川地域協力とあいまって、中国-ASEAN間の海、陸両面からの全面的協力を促す役割を果たしている。
汎北部湾地域経済協力のモデル
世界には様々な地域経済協力モデルがある。例えば、地域内の一カ国が主導して、一カ国或いは何カ国かを導いていくモデル。「新・柔・廖三角地帯」は、シンガポールが主導して、マレーシアのジョホール州、さらにインドネシアのリアウ諸島ともと共同開発を行うモデルである。国際組織、例えばアジア開発銀行がプロジェクトを主導し、更に資金援助も行い、協力戦略体系を形成し、地域内の各国の政府が共同で協力発展のモデルには、メコン川地域協力がある。それぞれの国、地域の政府が主導し、企業が提携関係を結ぶというモデルには、汎珠江デルタ協力などがある。
汎北部湾地域協力の現況からすると、理想的なのは、異なる主権国家のもとで、各政府が主導して、企業を主体とし、国際組織を活用し、オープンなやり方で地域協力を進めていくモデルであろう。
この協力モデルを選択する根拠および意義には以下のいくつかの点がある。
まず、汎北部湾協力体制に参加する国家や地域が多く、各政府の強力な支持が必要である。とりわけ重大なプロジェクトの場合は資金面での援助が必要である。
次に、汎北部湾諸国及び地域はいずれも市場経済体制を実施している。これは地域協力の基本である。地域経済協力は、経済主体の自主決定を主とし、政府は主に政策上のサポートを提供している。これにより、市場主体の役割が十分に発揮できる。
第三に、経済が発達しているシンガポール、中国の広東省、香港、澳門(マカオ)、GDPが高いブルネイを除くと、汎北部湾区域内のその他の国や地域は発展途上国及び地域であり、経済力が弱い。汎北部湾の共同開発には巨額の資金投下が必要であり、国際組織とりわけ国際金融機関の積極的な参与と協力が欠かせないのである。
第四に、オープンなやり方で地域協力を進めることによって、開放された市場と融通の利く方式を通じて、更に多くの汎北部湾地域外の資金、技術、人材などが汎北部湾協力・開発に参加するよう引き付けることができ、汎北部湾の協力と発展を加速させることが可能となる。
「チャイナネット」2007年7月27日
Friday, July 27, 2007
汎北部湾地域経済協力の戦略目標、位置づけおよび協力モデル
位置在: 4:29 PM
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